UTA TO WAKARE.

傷ついても陽を浴びた要約がある

R.I.P.

現代詩手帖2022年12月号「現代詩年鑑2023」が現在、発売中です。僕は、アンケート「今年度の収穫」に回答しています。今年度は、異様に良い詩集やアンソロジーが多かったように思います。自身、8月下旬以降体調の良い日が続いたこともあって、2022年度後半は…

Stilling, Still Dreaming. その1

思えば、随分と遠くへ来た。 この10月で岡山での精神科訪問看護の仕事に就いて、2年半が経つ。ピアスタッフ兼看護師として、ようやっと自分なりの訪問スタイルを確立できるようになった。精神科訪問看護は、アウトリーチと呼ばれるように、利用者さんのお宅…

Für Prof. Y. M.

2020年1月26日、国家試験まで19日となっていた。僕は、大学のカフェテリアで、拳大の握り飯を齧りながら、明石市立図書館で借りている文庫本『西洋古典学入門ー叙事詩から演劇詩へ』(久保正彰)を眺め、束の間の息抜きをしていた。文庫版あとがき、に目をや…

翌日談

一日経ち、本日は1月9日。 朝、久しぶりに親父に会った。親父はいつも通り新聞を読んでいた。 最新のニュースで、イランの攻撃が、倉庫等に限定されており、また、事前にイラクにミサイルが着弾することを通告していたことも明らかになった。米軍に人的被害…

Back to WORK

30年前、僕は7歳だった。小学校2年生、学級委員長をしつつ、新任で24歳だった木村先生のかわいがりを受けていた。理由は余り分からないが、一週間に一回は居残りで立たされ、反省させられていた。 当時の僕は、テレビ映画で観た『ダイハード』の中盤のシーン…

Hopefully for all the hopeless

something desparate and something hopeless are coming to us. but, we can also stay together. back to our routines and back to work, watching our steps and watching the steps next to ourselves. Hopefully for all the hopeless. Kacho Tsukitei…

夜のピアノ

昨年末の紅白で、上沼恵美子のラストのコメントを聴き、咄嗟に思い出したのが、たかじんが死んで一発目の上沼・高田のクギズケ!での上沼さんの語りのことだった。 YouTubeをdigっているとその時の録音をみつけた。聴きながら、三ヶ日だというに思わず震える…

紅白のことなど

年が明けた。大晦日は所々、紅白をみるなどした。昨年の紅白は第二部に限ると、歴代最低視聴率を記録したという。 これだけ娯楽の選択肢が増えたなか、当たり前といえば当たり前の結果だろう。 しかし、紅白自体にも人々への訴求力を失う複数の要因があるだ…

佐藤さんのこと

きょう九月四日は、故・佐藤真監督の命日である。十年前の九月四日は、私は西宮の山の中にある病院の中にいた。新聞を読むことが日々の喜びであり、毎日ラジオ体操をした後は、朝刊に目を通す日々であった。退院の話が出始め、にわかに心がワサワサしていた…

同時代ドキュメンタリー作家に関する一考察(2010.8.)

「他者=他なるもの」とは、おそらく、この「わたし」に特有の体験からやってくる共感や理解をはねつけるような固有の実存を抱えた存在だろう。 梶井洋志の制作した『遺言なき自死からのメッセージ』は、そのことを強く意識させる。梶井は、父親の自死という…

寺山のこと

一と二、主体の傷。 それがタイトルである。ここ一年近く寺山修司について小論を書こうとしてきた。タイトルが一週間まえに決まった。題が決まると、茫洋としていた考えが、ある程度輪郭を持つ。持ち始める、から不思議だ。いぜんのタイトルは、その意味では…

散文という要求

韻文への態度がまだずっと牧歌的であり得た時代があったとして、そのさなかから散文への矜持と餓えを内包させていた者たちだけが、彼らの書き残したもののなかになお息継ぐことを可能たらしめている。個々の独立した詩行をひとつ、またひとつと数え上げる仕…