UTA TO WAKARE.

傷ついても陽を浴びた要約がある

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30年前、僕は7歳だった。小学校2年生、学級委員長をしつつ、新任で24歳だった木村先生のかわいがりを受けていた。理由は余り分からないが、一週間に一回は居残りで立たされ、反省させられていた。

当時の僕は、テレビ映画で観た『ダイハード』の中盤のシーンを再現するちょっとした芸で、クラスの人気者になった。ブルース・ウイリスが、最上階からエレベーターにプラチック爆弾を投げ入れる、例のシーンだ。

その後の僕のレパートリーは、アイルトン・セナの事故を見よう見まねで再現すること、ついで、クラスメイトに最も受けたのが、スカッドミサイルをパトリオット弾が撃ち落とす、その戦争の様子の興奮気味の再現実況だった。

僕は無邪気で、とっても残酷だった。クラスメイトも児童期前期特有の嗅覚として大人の面白がらないような「不謹慎」なネタに喰いつきが良かったのだと思う。

約30年経った。
僕は37歳になった。

今日の朝霧は、爆弾低気圧が過ぎ去り、風が吹き荒ぶなか晴れ間がのぞいている。

僕は、ソレイマニの3日間の喪があけるという1月6日から、BBC、CNN、朝日新聞のアプリの通知をそれぞれオンにしていた。VICE newsへアクセスする頻度が一気に増えた。

8:52 イランの複数のミサイルが、イラク内の二箇所の在留米軍基地を攻撃。

10:09 イランの報復攻撃 軍事作戦名「殉教者ソレイマニ」に決定。

二つの通知が朝日新聞から僕のiPhoneに届いた。

僕は大学に向かって、自転車を漕いでいた。随分と風が強い。向かい風に倒されぬよう、自転車のギアを落とし、それでも自転車を飛ばしている。

殉教者ソレイマニ。

その文字面を観て、突然に涙が溢れ出した。

イランに行ったことなどない。アメリカも、また。

37歳になった僕にとってイランとは、漫画『ペルセポリス』の国であり、アッバス・キアロスタミの国だ。同様に、ハミッド・ダバシによって知ってきた国であり、ジャファル・パナヒの国だ。

トランプは、既に報復攻撃に対して文化財を含む52箇所への攻撃を加えることを予告していた。現時点では、状況を“monitoring”していると、BBC newsは伝えている。

僕は、戦争は嫌です。

僕自身は、非暴力不服従を貫いて生きて行きたい。

だが、それでもなお、たとえば、昨日のソレイマニの故郷での追悼式の様子を映像で観、ソレイマニの娘の演説を観、もはや誰も止められるものはいないのだろうか、と。

イランには誰一人友人も、知り合いもいないが、
イランに住む彼ら、彼女ら、イラン国民の感情を慮るに、「非暴力不服従」を今のイラン国家に望むのは、おそらくtoo demandingなのだろう。

訳などない。

ただただ、涙が止まらないだけだ。

Joey Bada$$は言う。
アメリカには申し訳ないが、トランプ、俺はお前の一兵卒にはならねえ

The Weekndは言う。
ー仕事に、作品に戻れ

《俺は、俺たちはこんなにも無力なんだろうか?》

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